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東京地方裁判所 平成5年(ワ)4237号 判決

原告

サイセイカンパニー株式会社

右代表者代表取締役

小松信行

右訴訟代理人弁護士

満園武尚

満園勝美

塚田裕二

被告

ライオンズマンション千駄ケ谷管理組合

右代表者理事長

伊藤晴基

右訴訟代理人弁護士

大脇茂

白井久明

黒澤弘

被告

池内雄三郎

右訴訟代理人弁護士

笹浪恒弘

笹浪雅義

高瀬靖生

主文

1  被告池内雄三郎は原告に対し、金三一〇万〇〇七二円及びこれに対する平成七年三月三日以降支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

3  訴訟費用の負担は以下のとおりとする。

(一)  原告に生じた費用の二分の一、被告池内雄三郎に生じた費用の五分の一及び被告ライオンズマンション千駄ケ谷管理組合に生じた費用の全部を原告の負担とする。

(二)  原告に生じた費用の二分の一及び被告池内雄三郎に生じた費用の五分の四を同被告の負担とする。

4  右主文第1項は仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  請求(原告の求めた裁判)

1  被告らは原告に対し、各自金二六四万円及びこれに対する平成七年三月三日以降支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2  被告池内雄三郎は原告に対し、金一三九万四七四六円及びこれに対する平成七年三月三日以降支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告らの負担とする。

4  仮執行宣言

第二  事案の概要

一  前提事実(弁論の全趣旨及び各記載の証拠により認定できる事実)

1  被告ライオンズマンション千駄ケ谷管理組合(以下「被告管理組合」という。)は、別紙物件目録記載の本件建物を含む一棟の建物の区分所有者を構成員とする同建物等の管理を行うことを目的とする団体である。

2  原告は、本件建物を所有者水谷〓代から賃料月額二八万円で賃借して、平成二年九月五日以降被告池内に転貸し、その賃料等(平成三年九月分までは、共益費、消費税相当額を含み、同年一〇月分以降は共益費を含む。)の額は、平成三年九月分までは月額三五万〇二〇〇円、同年一〇月分以降は月額三四万円(賃料三三万二五六〇円、共益費七四四〇円)であった。(甲三号証、甲四号証、甲六号証)

3  本件建物において排水が困難な状態が生じ、被告池内はこれを理由として原告に対する以下の賃料等の支払を拒否した。

平成三年八月分  三五万〇二〇〇円のうち三四万二三二〇円

同年九月分 三五万〇二〇〇円

同年一〇月分ないし平成四年二月分

一七〇万円

合計 二三九万二五二〇円

4  原告は、水谷に家賃保証をしていたため、右事態にかかわらず、各月の賃料(月額二八万円)を同人に対して全額支払った。

5  被告池内は、原告と本件建物の賃貸借契約を合意解除し、平成四年二月末日を以て本件建物を明け渡した。

6  原告は被告池内の退去後、本件建物の内装、排水管の交換等の工事を行い、一一八万四二六四円の費用を支出した。(甲一七号証、甲一八号証)

7  なお、以上の事実のうち、被告管理組合は、1の事実及び本件建物が水谷の所有である事実を認め、被告池内は、本件建物を原告から賃借した事実、3の事実及び5の事実を認めている。

二  原告は、前記排水状態について、被告ら双方の責任により排水管が詰まったためであると主張し、以下の金員の支払を請求している。

1  被告管理組合に対し、不当利得二六四万円(同被告が、排水管清掃債務の不履行により排水管を詰まらせ、本件建物所有者水谷に平成三年八月ないし平成四年二月分の賃料及び補修に必要な二か月分の賃料相当額の損害二六四万円を与えたが、原告が賃料を支払い同損害が填補された結果、同人に対する右損害賠償を免れ、法律上の原因なくして利益を受けて原告に損失を及ぼしたとの理由による。)の返還及びこれに対する平成七年三月三日(右金額の返還を求める準備書面が同被告に到達した日の翌日)以降支払ずみに至るまで民法所定の割合による遅延損害金の支払。

2  被告池内に対し、以下の金員から敷金二二万二〇三八円を控除した残額の四〇三万四七四六円及びこれらに対する平成七年三月三日(これら全額の支払を求める準備書面が同被告に到達した日の翌日)以降支払ずみに至るまで民法所定の割合による遅延損害金の支払。

(一) 平成三年八月ないし平成四年二月分の未払賃料等(前記一3のとおり)合計二三九万二五二〇円

(二) 債務不履行(本件建物の用法違反)に基づく損害賠償金六八万円(本件建物の排水管を補修するために必要な二か月分の賃料相当額)

(三) 本件賃貸借契約に基づき同被告が負担すべき本件建物の原状回復工事(前記一6の工事)の費用一一八万四二六四円

三  争点

(被告管理組合関係)

1 被告管理組合が本件建物所有者水谷に対して、本件建物の排水管の清掃債務を負担していたか

(一) 原告の主張

被告管理組合は、毎年業者に委託して各専有部分の排水管の清掃を行い、その費用を区分所有者から徴収した管理費から支出し、右清掃の実施、費用の支出を明示した収支報告、予算案を総会で承認していた。

よって、被告管理組合は区分所有者に対し、右承認等の事実に基づき、専有部分の排水管についても、清掃を実施すべき債務を負担している。

(二) 被告管理組合の主張

本件建物の排水管で詰まった部分は専有部分に属する排水管である(原告との間で争いがない事実)。被告管理組合は、専有部分の管理義務はなく、また、原告主張の事由によって清掃債務を負担するものではない。

本件マンションの場合、共用排水管の清掃口が設けられていないため、その清掃を行うためには各専有部分の排水管の排水口から専有部分の排水管を経て清掃するほかない。したがって、被告は、共用排水管を清掃するため、付随的に専有部分の排水管を清掃していたにすぎない。

2 被告管理組合の委託した業者が排水管の清掃を適切な方法で実施したかどうか及びその実施の当否と排水が困難となった原因との関係

(一) 原告の主張

被告管理組合は、本件建物の排水管の清掃を大京管理株式会社に委託し、同社はさらにこれをヤマト装備株式会社に委託していた(乙一号証の一、証人川原勉の証言及び弁論の全趣旨により認定)ところ、同社が、平成三年八月に実施すべき清掃を行わず、あるいは不適切な方法で行ったため、これが原因で排水管が詰まり排水が困難となった。

(二) 被告管理組合の主張

ヤマト装備株式会社は、平成三年八月三一日に本件建物の排水管の清掃を適切な方法で実施している。

排水管が詰った原因は、被告池内が食用の油の廃油を台所流し台から多量に流したことにある。

(被告池内関係)

3 被告池内に本件建物の用法違反があったかどうか及びこれと排水が困難となったことの関係

(一) 原告の主張

被告池内またはその同居者は、排水管に食用油の廃油を何ら処理を行わないまま流していた。そのために排水管が詰まり、排水が困難になった。

(二) 被告池内の主張

被告も同居していた女性も本件建物内では調理をせず、したがって多量の廃油を流した事実はない。

排水管が勾配の不備等が原因で詰まる場合もある。

4 原状回復費用の負担

(一) 原告の主張

前記一6の工事は、本件建物の原状回復のために施工した別紙原状回復一覧表記載の内容の工事であり、その費用一一八万四二六四円は、本件契約上被告池内が負担すべき費用である。

(二) 被告池内の主張

通常の用法に従った自然的汚損については原状回復の対象とはならず、本来貸主が費用を負担してその更新の工事を行うべきである。

原状回復のための工事に該当するのは右一覧表43の工事のみである。

5 債務免除の合意の成否

(一) 被告池内の主張

原告と同被告は、本件賃貸借契約を合意解除し、明け渡した際に、お互いに債権債務がないことを確認した。

(二) 原告の主張

平成四年一月中旬、原告代表者が被告池内との話し合いの場で、排水管が詰まった原因が被告池内にない場合は家賃や原状回復費用等を請求しないと言った事実はあるが、無条件に同被告の債務を免除した事実はない。

第三  争点に対する判断

一  本件建物の排水の状態について

甲七号証、甲一三号証、甲一五号証、甲一六号証、乙三号証、証人江川伸二の証言及び被告池内の本人尋問の結果(採用しない部分を除く。)によれば、以下の事実を認定することができる。同被告本人尋問の結果中、以下の認定に反する部分はその余の証拠に照らし、採用することができない。

1  本件建物の排水状態は、被告池内が平成二年九月に入居した直後から、多少悪かったが、常時住居していた同居人が台湾人であり、入浴時に浴槽に湯を貯めずシャワーを使う習慣であったことも幸いし、注意をして使用すれば格別に支障のない状態であった。

2  しかし、その後、被告池内の同居人らが台所の流し台の排水口から調理に使用した動物性油脂等の食用の油の廃油を多量に流したため、排水状態は悪化し、洗濯や入浴に支障をきたすようになった。

そこで、被告池内は、平成三年八月二六日ころに至って初めて右状態について苦情を述べた。

3  右苦情を受けた原告が設備工事業者の江川伸二に委託して排水状態を調査させた平成三年九月八日の時点では、洗面所の使用には支障がなく、また、浴槽に水を貯め栓を半分にした状態で排水すると、支障なく排水できるが、排水栓を完全に抜いて排水すると、洗濯用の排水口から同排水受盤に水が溢れてくる状態にあった。

被告池内は、同年九月七日に賃料(遅滞分の一部)を支払って以降は、排水状態が悪いことを理由に賃料の支払を拒否した。

排水状態は次第に悪化し、平成三年九月以降平成四年二月末までの間に入浴や洗濯をすることが完全にできない状態となったが、その時期を特定するに足りる証拠はない。

4  被告池内が明け渡した直後の平成四年三月時点の本件建物の排水の状態は、本件建物内の排水管が共用の縦管に繋がる手前の2つ目の湾曲部(浴室からの排水管との合流部分より下流)付近で油塊と髪の毛によりほぼ完全に閉塞し、また、台所からの排水管と浴室からの排水管が合流する部分もかなりの油が付着して半分以上閉塞した状態であった。

5  その後、油塊の詰まっている部分を交換し、トーラーを使用して排水管内の詰まりを除去した後の排水状態は、改善されたがなお不完全であり、台所の水槽及び浴槽を満水にして同時に排水すると、洗濯用の排水口から同排水受盤に水が溢れてくる状態にあった。

さらに、洗濯用の排水口から洗面台の排水管に至る配管等を取り替えて調整したところ右状態は改善され、排水に支障のない状態となった。

二  排水に支障が生じた原因について

前記一認定の各事実を総合すれば、本件建物の排水状態が悪かったことについては、排水管の勾配、口径等の構造等にも問題があり、これが原因となって排水が滞留し、浴槽等から多量の排水を継続的に行った場合、排水に多少の支障が生じる状態にあった(ただし、洗濯機や浴室の使用を困難とするほどの状態であったとは認め難い。)ところに、被告池内ないし同被告の同居人らが食用の油を台所流し台の排水口から流し(証人川原勉の証言によれば、極めて短期間に排水管を詰まらせる原因となる行為である。)、これが排水管内に付着したため、平成三年八月までには排水状態が相当程度悪化するに至り、同月三一日に清掃を実施して一時的に排水状態が改善された後、再度、早期に排水状態が悪化し、やがて洗濯機や浴室の使用が困難な状態となり、最終的には排水管が完全に閉塞するに至ったものと推認することができる。

右認定に反する被告池内の供述は採用することができない。

三  ヤマト装備株式会社による清掃の実施状況について

1  乙一号証の一、二、乙二号証の一ないし一二及び証人川原勉の証言によれば、ヤマト装備株式会社は、平成三年八月三一日に本件建物の排水管の清掃を行い、被告池内の同居者から、清掃作業完了報告書に同実施を確認する趣旨の同被告(当時の姓は木村)名義の署名押印を受けた事実を認定することができる。

2  さらに、乙四号証、乙五号証の一、二、乙六号証の一、二、乙七号証、乙八号証の一ないし四及び証人川原勉の証言によれば、同日実施された清掃方法は、①台所流し台の排水口から共用排水管までの間の排水管を高圧ホースや油塊除去用の電動トーラーを使用して清掃、洗浄し、高圧ホースの先端を共用排水管まで到達させ、その後、右排水口から排水を行い、同排水口から共用排水管までの排水に支障がないことを確認したうえで、②浴槽排水口(高圧ホース等を挿入することができない構造になっている。)から高圧洗浄水を吹きつけ、トラップ内の滞留物を流し、続いて、③洗面台、洗濯各排水口から共用排水管までの間を高圧ホースを入れて清掃、洗浄し、その後、各排水口から排水を行い、各排水口から共用管までの排水に支障がないことを確認したうえで、④再度、台所流し台の排水口から排水を行い、同排水口から共用排水管までの排水に支障がないことを確認するという方法、手順で清掃作業が行われた事実を認定することができ、以上の事実によれば、右作業は本件建物の排水管を清掃するについて適切な方法により行われたものと認めることができる。

3  右清掃を実施した後間がない平成三年九月八日時点において、排水に前記のとおりの支障が生じていた事実は、前記二の事実を考慮すると、右認定を妨げるには足りない。

四 以上によれば、本件建物の排水に支障を生じさせたことについては、被告管理組合には責任がなく、被告池内に責任があったものと認めることができる。

しかし、建物の賃貸人は、賃貸建物の使用収益に必要な修繕を行う義務を負うから、賃借人の責任で修繕を必要とする状態に至った場合においても、合理的な期間内に修繕を行うべきであり、したがって、右期間内に修繕が行われなかったときは、賃借人は信義則上、以後の賃料の支払を建物の使用収益に支障を生じている限度において拒絶し、あるいは減額の請求をすることができると解すべきである。

本件において、平成三年九月八日時点の排水状態は本件建物の使用収益に支障を生じる程度に達しており、かつ、同被告は原告に対し、右状態にあることを指摘して修繕を要求し、賃貸人の原告も調査をして右状況を認識するに至っていたのであるから、遅くとも一一月末までに(弁論の全趣旨により、本件排水管の修繕には二か月程度の調査、施工を要したものと認める。)修繕を行うべき義務があったものと認めるべきである。

したがって、被告池内は、同年一二月分以降の賃料について、本件建物の使用収益に支障を生じていた程度に応じた部分の支払を拒むことができるところ、前記認定の排水状態からすれば、最大限賃料の三〇パーセント相当額の支払を拒むことができるものと解すべきである。

よって、被告池内の支払うべき未払賃料等の額は、平成三年八月分三四万二三二〇円、同年九月分三五万〇二〇〇円、同年一〇月分及び一一月分各三四万円、同年一二月分ないし平成四年二月分各二四万〇二三二円(賃料二三万二七九二円、共益費七四四〇円)の合計二〇九万三二一六円となる。

さらに、本件建物の排水管の補修には二か月以上を要し、その間原告は本件建物を賃貸することができず、賃料相当額六八万円の損害を被った事実を認定することができる(乙三号証及び弁論の全趣旨)ところ、被告池内及びその履行補助者である同居人は、賃借人の義務に違反して、通常の用法を逸脱した使用(食用の油を台所流し台から多量に流したこと。)を行い、そのために右損害を与えたものであるから、同被告は債務不履行による損害賠償金六八万円を支払う義務がある。

五  原状回復費用について

1  甲三号証(原告と被告池内との間の賃貸借契約書)によれば、被告池内は原告との間で本件建物明渡しの際、原状回復義務を負い、原告が原状回復を行った場合にはその費用を同被告に対し請求できることが合意されていることに加えて、返還される敷金を以て原告は、畳、建具等の取替え費用、鍵の取替え費用及びじゅうたんの張り替え費用を精算することができる旨合意されている(同契約書八条一項)。

後者の合意の趣旨は、原告が、賃借人の一般的な原状回復義務の範囲を超えて、敷金額(甲三号証によれば九九万七六八〇円である。)の限度内で、右取替え費用を被告池内に負担させ得ることを特別に合意したものと解することができるところ、右上限額に照らせば、借家法の趣旨等に照らして無効とすべきほど借家人に不利益な内容の合意とはいえず、したがって、有効な合意と認めることができる。

2  甲一七号証、甲二〇号証及び証人吉田牧人の証言によれば、原告は、被告池内から明渡しを受けた後、本件建物について、別紙原状回復一覧表記載の各項目の工事を、各明渡時の状況欄記載の事由により、株式会社アドバンスに請け負わせて施工した事実を認定することができる。

そして、右各証拠によれば、番号28、43の工事は一般的な原状回復工事に、番号8ないし10、14、15、29、32ないし42は同被告の責任により詰まらせた排水管を補修するための原状回復工事に、そして番号1、3ないし6、11ないし13は前記特別の合意に基づき同被告が費用を負担すべき工事に各該当すると認めることができるから、原告は本件建物の内装修復工事に要した一一八万四二六四円のうち、右各工事の費用額合計六二万四五三六円(工事費五五万一三四六円に諸経費一割及び消費税相当額を加算した額)の支払を同被告に請求することができる。

なお、建物賃借人が負担する原状回復義務の内容は、特約がない限り、賃借人が自ら建物の原状に付加変更した部分を原状に復旧する義務及び賃借人の異常な方法による使用収益等の故意過失によって生じた汚損ないし破損部分を修繕すべき義務にとどまり、通常の方法による使用収益や年月の経過により汚損ないし破損した内装等を入居時と同等に修繕する義務まで含むとは解されないところ、右一覧表記載のその余の工事は、このような意味における原状回復のための工事と認めるには足りず、前記排水管の補修や特別の合意に基づく工事にも該当するとは認められないから、原告は、その費用を被告池内に請求することができない。

六  債務免除の合意について

被告池内主張の債務免除の合意の成立については、同被告の本人尋問における供述自体不明確でこれを認めるに足りず、その他右合意の成立を認めるに足りる証拠はない。よって、同主張は採用できない。

七  敷金による充当

甲三号証及び甲一九号証によれば、原告は、被告池内に対し敷金九九万七六八〇円のうち七〇万円を返還し、二九万七六八〇円を取得した事実を認定することができる。なお、原告は、引越先の賃料七万五六四二円を同被告に支払ったので、これも敷金から控除し得る旨主張するが、右金員を同被告に負担させるべき根拠は明らかでないから、右主張は失当である。

よって、被告池内は原告に対し、前記四認定の未払賃料等、損害賠償金及び前記五認定の原状回復費用の合計三三九万七七五二円から取得ずみの敷金二九万七六八〇円を控除した三一〇万〇〇七二円を支払う義務がある。

八  以上によれば、本件請求は、被告池内に対し、右金員及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるので、同限度でこれを認容する。

(裁判官中山顕裕)

別紙

原状回復一覧表

番号

項目(甲17号証)

契約書8条1項に例示の有無

明渡時の状況

1

鍵交換

用心のため

2

室内清掃

清掃してなかったため

3

畳表替

(和室6畳)

破れなし、日焼けもあまりないが家具の足跡が4ケ所有。取替の必要ないが、表替の必要あり。

4

襖貼替

5

天袋貼替

6

障子取替

7

玄関クッションフロア貼替W巾

1㎝位の汚れ2ケ所有。

ホコリ汚れ有。貼替必要。

8

洗面脱衣場クッションフロア貼替W巾

排水口点検の為、剥がした。

貼替必要。

9

ダイニングキッチンクッションフロア貼替W巾

排水管点検の為、剥がした。貼替必要。

10

クッションフロア剥し作業

8~9と同じ

11

廊ドジュウタン貼替

(1.0×3.4)

表面消耗の為、貼替必要。

12

玄関右洋室ジュウタン貼替

(2.7×2.5)

入口付近、ループがほどけている。

貼替必要。

13

奥左側洋室ジュウタン貼替

(2.7×3.7)

直径8㎝のコゲ跡有。

半円状のコゲ跡有。2㎝のコゲ跡2ケ所有。貼替必要。

14

奥右側洋室ジュウタン貼替

(2.7×4.65)

排水管点検の為、剥がした。

15

奥右側洋室ジュウタン下地フエルト

排水管点検の為、剥がした。

16

廊下壁クロス貼替

全体薄黄色く汚れていた。下駄箱上所々黒く汚れ有。貼替必要。

17

廊下天井クロス貼替

証明器具のまわり熱の為か黒く汚れ。全体薄黄色く汚れていた。

18

玄関右洋室クロス貼替

壁の右側サッシ下2㎝位剥がれと破れ有。貼替必要。

19

洗面脱衣場壁クロス貼替

洗濯機防水ハパンのまわりカビ汚れその他所と汚れ有。貼替必要。

20

トイレ壁クロス貼替

正面右上が薄黒く汚れていた。貼替望ましい。

21

トイレ天井クロス貼替

黄色く変色。貼替必要。

22

ダイニングキッチン壁クロス貼替

インターホン右手に冷蔵庫を置いた跡と思われる黄色く汚れ有。全体的に薄黄色く汚れていた。

貼替必要。

23

ダイニングキッチン天井クロス貼替

全体的に黄色く変色。貼替必要。

24

奥右側洋室壁クロス貼替

人口右面上部ヒビス跡1ケ所有。右柱上部画鋲跡2ケ所有。入口正面下部横線上に黒く汚れ有。

貼替必要。

25

奥右側洋室天井クロス貼替

全体黄色く変色。貼替必要。

26

奥左側洋室壁クロス貼替

右側に家具の跡がクッキリわかる位黄色く変色有。

27

奥左側洋室天井クロス貼替

全体に黄色く変色。貼替必要。

28

下駄箱扉吊込金具

下駄箱引き違い戸2枚紛失していた。

新規作製必要。

29

床下地コンパネ補修工事

(押入壁含む)

排水管点検の為、脱衣所、DK、奥右側洋室の床の下地コンパネを取り外した。貼替必要。

30

温水器室扉建付調整

収納部扉開閉が不良。

31

塗装工事

玄関扉ペンキ剥がれ有。サッシ木枠下場ペンキ剥がれ有。その他幅木ペンキ剥がれ有。

32

残材処理費

(Kアコーディオンカーテン撤去含む)

排水管点検作業

33

床開口及び器具取外工事(洗面器、防水パン)

排水管点検作業

34

排水詰まり点検工事

(排水業者出張費含む)

排水管点検作業

35

排水管撤去、部分引き直し

排水管点検作業

36

排水工事、排水管クリーニング(立会及び点検等含む)

排水管点検作業

37

洗濯機用防水パン

(TOTO PW-30¥10700)

排水管点検作業

38

防水パン取付費

排水管点検作業

39

洗面台取付工事

(給排水管工事含む)

排水管点検作業

40

配管部材費

排水管点検作業

41

雑部材、雑工事費

排水管点検作業

42

K前注意プレート

(取付費を含む)

排水管点検作業

43

下駄箱扉新規作製

下駄箱引き違い戸2枚紛失していた。

新規作製必要。

別紙物件目録〈省略〉

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